HONDA RA300 / 301



1967 HONDA RA300
水冷90度V12気筒 2992cc DOHC 48valve 420hp+/11500rpm

 軽量化のために監督復帰した中村良夫さんが、契約ドライバーとなった John Surteesを通して Lolaにシャシー製造を委託している。自製にこだわることなく、まさに勝つためのプロの仕事であったのだ。突貫工事により、僅か6週間(!)でシャシーは完成している。ベースは66年のインディ優勝車 Lola T90。それにリアのパイプフレーム、燃料タンクと燃料システムを新造したのである。
 デビュー戦のイタリア・グランプリで優勝したのは前日の記事にある通りである。その後 RA300は翌68年の開幕戦、南アフリカ・グランプリまで参戦したが、就役レースはわずかに4戦。67年の最終戦、メキシコ・グランプリでは4位となっている。




1968 HONDA RA301
水冷90度V12気筒 2992cc DOHC 48valve 440hp/11500rpm

 RA301は、懸案事項だった車重を、モノコックの部材をマグネシウム合金に変更する等、530kgまで軽減することに成功。ライバルの Lotusに100kg+まで近づいた。
 エンジンは、バルブ・スプリングをコイルから純粋なトーションバー方式に変え、それまでのV中央排気をV外側排気に変更する等の高速出力化を実施して、440〜450馬力/11500rpmという、F1最強のパワーを維持していたが、結果としてはフランス・グランプリに於ける John Surteesの2位が最高位で、11戦中、実に8戦でリタイアという結果に終わった。
 1.5リッター・フォーミュラーではパワーこそが第一義であったけれど、3.0リッター・フォーミュラーでは、パワーは勝利を勝ち取る要因の1つにすぎなくなったのである。当時の3.0リッター・フォーミュラー・エンジンとしては最強であったが、その重さと、ホンダ自製の燃料噴射系のトラブルなどで相殺されていた。また、勝てるレースに不運で失ったレースも多かったのである。