French Blue Meeting 2011 CITROEN AMI 8 & VISA 幻の VISA LOTUS



CITROEN AMI 8 Break
空冷水平対向2気筒 OHV 602cc 32ps/5750rpm 最高速度 115.9km/h

1969年3月、ジュネーブ・ショーにてデビューした AMI 8。前モデルの AMI 6から8へと数字名が大きくなったので、性能も大幅に向上したかに思われたが、排気量も課税馬力もまったく変わることはなかった(基本コンポーネント2CV)。大きく変わったのは醜いフロントマスクがすっきりとしたデザインとなったフロントマスクである。その一方で前衛的なクリフカットのリアウィンドウは、ごく普通のファストバックに改まった。1969年9月に発売された Breakからフロント・ブレーキはインボードのディスクに強化され、フロントウィンドウのみレギュレーターで上下できるようになった(それまでは横スライド方式)。


醜悪なフロントマスクの AMI 6。写真のモデルは貴重な北米輸出仕様で、2灯異形ヘッドランプが4灯丸型ヘッドランプになっている。ちなみに異形ヘッドランプを世界で初めて採用したのは AMI 6で、1961年4月にデビューしている。今年は生誕50周年ということだ。AMIは、もともと 2CVと DSという極端なラインナップしかなかった CITROENがその中間クラスを埋めるために作り出したものである。
AMIシリーズはフランス国内でヒットし、1979年まで生産は続いた。17年間に及ぶ生産期間の間、実に187万台が送り出された。





CITROEN VISA CLUB
空冷水平対向2気筒 OHV 625cc 36ps/5500rpm

1978年10月、AMI 8の後継車として登場した VISAは、誰が見ても奇抜な CITROENらしさが濃厚なクルマだった。1本ワイパーに、ポリプロピレン製のグリルとバンパーが一体構造となっていたデザインは、豚の鼻のようであり、大衆の嗜好からはかけ離れたものであった。
空冷フラットツインを搭載したモデルは正規輸入されておらず貴重な1台だ。


1本スポークのステアリング、大胆なデザインのメーターナセル両側のスイッチポッドは、取説をよく読まないと使えないなど、まさに CITROENらしい独創性の塊であった。しかし、ベースとなっていたのは PEUGEOT 104のフロアパンとサスペンションである。1974年に起こったオイルショックは CITROENを支えていた Michelinに壊滅的なダメージを与え、フランス政府の肝いりもあり、CITROENは PEUGEOTと合併することになる。PEUGEOTの経営は保守的で堅実であり、大胆にして先進的な CITROENが妥協の産物として初めてだしたクルマとの見方もある。なんとなく、この話はトヨタに吸収されてしまったスバルを思い出すのは自分だけだろうか?




CITROEN VISA GT
直列4気筒 OHC 1360cc 80ps/5800rpm

デビューして3年足らずの1981年3月、VISAは大幅なフェイスリフトを行う。豚の鼻のようなフロントマスクが不評だったのが原因である。スタイルの見直しは Heuliezに委託された。日本では、このGTだけが正規輸入されている。
VISAは1988年までに120万台を超える累計生産を記録して AXにバトンタッチされた。

 VISAにはラリー仕様の Mille Pistesというホット・バージョンがある。1434ccのエンジンは 147psまでチューンされ、パートタイム4WDに改造されている。


そして究極は、LOTUSとのコラボレーション!


VISA Lotus
Lotus Esprit TURBOの 210psエンジンをミドシップに搭載するというもの。もともと CITROENが SMのギアボックスを Lotus Espritに供給していたことから始まったプロジェクト。開発は LOTUSに委ねられたが、1台だけ制作されたプロトタイプはレースに出場することもなく、Citroen Heritage Centerにいまも動態保存されている。実現していればグループBで活躍していたかもしれないな……。