Goodwood Festival of Speed 2011 LEGENDARY GROUP B CARS

1980年代、ラリーは GROUP Bの時代を迎える。規定の 200台さえ製造すれば何でも認められ、ラリーは狂気が支配する無法地帯となった。造られたマシンは凶暴な野獣となり、それを操る調教師は限られた者となった。そして終いには観客に多大な犠牲を強いて絶滅することとなる。


1986 CITROEN BX 4TC
直列4気筒 SOHC TURBO 2141cc 380ps/7000rpm

 GROUP Bの中のB級を最初に紹介することを勘弁して頂きたい。ベースとなったBX16vは自分が初めて買った輸入フランス車であり思い入れがあるのだ。いま見ると変形してガンダムになりそうな強烈な連邦系モビルスーツのデザイン(苦笑)。

 このマシンの特徴は2つあって、GROUP Bでは時代遅れのフロント・エンジン、それと軽量化のため採用されたセンターデフロックのないパートタイムの4WDシステムである。
 エンジンのベースとなったのは、元々 Chrysler180に搭載された軽合金ヘッドを持つ4気筒の旧式エンジンで、「頑丈でターボとの相性が良い」との判断で採用され 380psという出力を絞り出した。しかし、これに採用された足回りが問題であった。ハードなラリーの舞台に、御自慢のハイドロニューマチックが採用されたのである。かつて CITROENは DSや SMといったハイドロ装備車をラリーに投入していたが、 BX 4TCのもつ 380psのパワーを支えきれなかった。リタイアの多くはハイドロサスペンションの故障が原因だった。完走したのは6位となった Swedish Rallyのみ。しかも情けないことに2台の GROUP Aマシンに続くものであった。
 不幸にも、熟成もままならないうちに FISAは GROUP B廃止を決定、僅か3戦のみで BX 4TCは葬られたのである。怒り心頭の CITROEN SPORTは WRC撤退を表明、長い冬眠に入るのであった。




シフトノブとブーツはBX16vそのものである。


フロントヘビーを解消するため、オイルクーラーはリアウィング基部に内蔵されている。焼け石に水だったと思うが。