1969 MINI 9X Hatchback prototype

 60年代末期に、Issigonisは大成功した Miniの後継となる小型車を考えていた。彼はコンパクトカーにとってフロント・エンジン前輪駆動という組み合わせが優位だと考えていた。コンパクトカーでは室内は乗員スペースが優先で、ラゲッジ・スペースは必要最小限でよいと割り切っていたのだ。大人4人乗車で少しの荷室があり、ライバルと渡り合える動力性能と現在の Miniよりも5%価格を安くすることが目標とされた。

 生み出されたのは、3ドアのハッチバックで既存の Miniよりも四角いボディとなっていた。性能を向上した新開発の‘9X’850ccエンジンとトランスミッションも Issigonisにより設計されて搭載されている。シリンダー・ヘッドとクランク、ギアボックスはアルミ製となり、Miniのエンジンよりも40%も軽量化されていた。エンジンは必要に応じて1000ccまで拡大できる余裕の設計となっている。

 Miniのハイエンド・モデルに備われたハイドロラスティック・サスペンションは排除され、前は水平ストラット、後ろはトーション・バーによる独立サスペンションとなっている。改良されたクラッチとオルタネーターも装備された。

 新しいデザインは乗員と荷室の効率性を追求したものであったが、British Leylandの新しい経営陣は Issigonisのアイデアを認めなかった。数年後、彼らのライバルである FIAT、RENAULTVWから Issigonisのアイデアを具現化した魅力的な3ドア・ハッチバックが世に送られ成功していった。Miniは時代に取り残されてしまい、British Leylandは経営を復活させる機会を永遠に失ったのである。

まぁ、もし世に出たとしても、こんなデザインじゃ売れんべなぁ。サイド・ウィンドウがスライド式なことに注意。