Le Mans Classic 2012  1GRID 1923 - 1939+ Entrants Part 9


1927 Amilcar CG S
Amilcar 1080cc 4cyl.

 Amilcarは 1921年〜1940年まで存在したフランスの自動車メーカー。元々はモーターサイクルの空冷単気筒エンジンを利用した cyclecarを製造していた。
 Amilcar CG Sは、1920年代に 'poor man's Bugatti'と賞された最も成功した軽量スポーツカーであった。4気筒サイド-バルブ エンジンは30馬力を発生。約567kgという軽量ボディがもたらすパフォーマンスは4輪ブレーキ*1と共にライバルを凌駕した。CG Sは数千台が製造販売されたと言われるほどの大ヒットとなった。
 1924年の第2回ル・マンに#48 André Morel / Marius Mestivier組が参戦。13ラップでリタイアとなっている。




1932 Citroen C4 Roadster
Citroen 1539cc 4cyl.
CITROEN C4 Roadster の改造車で Henri de la Sayetteは 1932年のル・マンにエントリーしたが、電気系統の故障で本戦に出場できなかった。その悲運のクルマを英国で再現したレプリカである。






1938 Simca 8 Speciale Camerano Le Mans
Fiat 1089cc 4cyl.
 Simca (Société Industrielle de Mécanique et Carrosserie Automobile=自動車部品とボディの製造会社といったところか)は、フランスで製造される FIATとして誕生したのが始まりである。1898年、イタリアの TORINOで生まれたフランス人 Henri Pigozziがフランスの Suresnesで鉄鋼取り引きを開始したのが 1920年代の初め。彼の取り引き先は主にイタリアであったが、その最大の顧客が FIATであった。やがて 1926年になると Pigozziはフランスにおける FIATのインポーターとなる SAFAF (Société Anonyme Français des Automobiles Fiat)を設立。だがフランス国内で FIATを売るというのは楽な商売ではなかった*2国産車保護を目論むフランス政府は輸入外国車に禁止税的な関税をかけたので、金に糸目をつけない超高級車はまだしも、価格が選ぶ際の関心事となる小型大衆車はこの関税障壁に阻まれ、フランス車とはまともに太刀打ちすることは出来なかった。
 ところが商才ある Pigozziは、たとえ外国のクルマといえども最終組立をフランス国内で行いさえすればフランス車として認められ、関税がかからないという法の穴を発見した。1930年代初頭に SAFAFは Suresnesで僅か30mばかりの生産ラインを設置し、イタリアからほとんど完成品に近い FIATの部品を輸入し、そのラインで最終組立を行い、主にパリ市内で販売を開始した。
  Pigozziが最初に手がけたのは、イタリアでデビューしたばかりの Fiat 508 Balillaだったが、これが成功した。1934年には FIATの資金援助を受けて5万㎡の工場を買収。翌 1935年に SIMCAが設立されるまでに3万台ものクルマが製造されたと言われている。1936年には、あのトポリーノのフランス版 SIMCA 5が発売され、フランスでも大成功を収めるほど売れに売れまくった。2人乗りの馬力課税クラス3CVがライバルにいなかったのが幸いしたのだ。
 Simca 8は、その5の成功に乗って 1938年にデビューする。これは FIATの傑作車 Tipo 508C 1100のフランス版である。Dante Giacosaの設計で、ピラーレスの4ドア・ボディは 前輪独立懸架の DUBBONET サスペンションを採用。軽合金ヘッドの4気筒 OHV 1089cc 32hp/4000rpm を発生し、4段ギアボックスを介して後輪を駆動する。
  Simca 8の魅力はライバルに抜きん出たパフォーマンスにあった。Peugeotや Renaultが100km/hそこそこしか出せなかったのに比べ、8は最高速度 110km/hを誇り、欧州最速の1リッター・クラス・サルーンの1つであった。Gordiniは早速8に目を付け、高度にチューンした8で欧州各地のラリーやロードレースで活躍した。
 1938年のル・マンに於いて、Just-Emile Vernetチームの#42のAlbert Debille / Guy Lapchin組により総合9位、1.1リッター・クラス2位でフィニッシュしている。

*1:当時は後輪のみの2輪ブレーキの場合が多かった。

*2:今の日本でフィアットを売るのも大変だが(笑)。