Mercedes-benz 600 limousine


90度 V8 SOHC 6329cc 250hp/4000rpm MAX 205km/h


 東京〜大阪間の東名高速道路*1が全線開通したのが 1969年5月のことである。カーグラフィック誌は 1971年3月号にて大阪まで Rolls-Royce Silver Shadowに乗って古いロールスを探訪するという贅沢な記事を掲載。その次は Mercedes-benz 600 limousineだということで借りだしたのが、当時の梁瀬次郎氏のサルーンであった。価格が 1218万円というのは、今の価値で行くと 5000万円といったところであろうか。
 全長 5.5m 車重が 2400kgの巨体であるが、71年8月号に掲載された小林彰太郎氏のロード・インプレッションによれば、ワインディングロードも並のスポーツカーよりも遥かに軽快にコーナーを曲がり、スロットル・レスポンスが他のメルセデスと比較にならないほどよく、「はるかにおもしろい」と書き記されている。
 当時の東名は渋滞もなく空いていたので、常時 200km/hで疾走したそうである。後日、小林氏は「仮に東京を同時に新幹線でスタートしたら、最初に給油した浜松までは僕らが勝ったな」と告白されているが、その速度域においても V8エンジンはボンネットの下で低く押さえられ、室内は信じられないほど静かだったという。
 問題は燃費の悪さで、リッターあたり4kmを切る値だったということだ。エコが叫ばれる現代においては存在不可能なクルマであるというのも事実である。
 記事の最後は次のように締めくくられている。

この世でなにを最も欲するかと問われて、ロールス・ロイス シルヴァーゴーストと答えた晩年のアラビアのローレンスのひそみにならえば、メルセデス・ベンツ600、それに一生乗れるだけのタイアをそえてと、いまの私なら答えるだろう。



 

*1:正式名称は第一東海自動車道である。