Mercedes-Benz 300SL


M198 6cyl SOHC 2996cc 215ps / 5,800rpm


Mr. Shotaro Kobayashi is a person who in the Japanese automotive journalist, wrote an article that clearly involve criticism of the first time. He is a Japanese automotive journalists who wrote the test drive of the Mercedes-Benz 300SL described for the first time in 1962.

 小林彰太郎さんが、62年のカーグラフィック創刊号にて Mercedes-Benz 300SLのインプレッションの記事を書いたが、日本の自動車好きに与えた衝撃は計り知れないものであったようだ。当時の若者は「300SLのステアリングを握れたら死んでも良い。。。」と考えていたようだが、今や憧れの Ferrariも中古ではあるが年収300万円でローンが組める時代。クルマが夢を持っていた時代は50歳以上の年寄りによる夢精のようなものになってしまったのかも知れない。。。当時は、どんなに金があってもメルセデスは買えない時代。なんせ日本の自動車産業を保護する目的で輸入車は入札制度となっていたのだ。運とコネがなければ買えなかった。
 300SLは日本人が輸入したのが3台のみで、あとは在日米軍人だけ。創刊号のクルマも在日米軍の軍人から借りてきたものだ。小林さんが恐る恐る当時のディーラーであったウェスタン自動車に在籍していた友人の山岸秀行さんに頼んだら、あっさり承諾してくれたそうだ。
 役人がワイロを要求することで悪名高い「村山の機械試験所テストコース」で、小林さんは180km/hを出したと記事に書いている。当時の日本では100km/hが夢の速度であり、180km/hというのは宇宙に飛び出すような勢いに読者には感じられただろう。日本には高速道路が無かったのだから。
 テストには当時、日野自動車に在籍していた小林さんの東大からの友人である武田秀夫さんが日野の社員を数名連れて見学に来ていた。一通りテストが終わると、小林さんは日野の社員さんを一人づつ助手席に乗せて村山のテストコースを周回した。皆は真っ青になってクルマから降りてきたらしい。誰もが100km/h以上のスピードは初体験であり、中には185km/hというメーターを見ただけで身震いしてしまった人もいたという。

 

 メルセデス300SL のハンドルを握って思い切り飛ばす事、それは恐らくすべてのスポーツカー愛好家の見果てぬ夢に違いない。ある晴れた冬の1日、私はこの幸福を120%味わう事ができた。テスト車は現在日本にある最新型の300SL ハードトップ、所は村山の機械試験所テストコース。厚い、重々しいドアを開け、高く幅広い“敷居”(この中を鋼管フレームが縦貫している)を越えてシートに体を滑り込ませるのには、ちょっとしたテクニックを要する。しかし一度バケットシートに深く身を沈めるとその完壁な居住性は機能主義的なスポーツカーというよりは、むしろ豪華なグランツーリスモのそれである。初めての車に乗ればいつもそうする様に、各種のコントロールの位置を確かめ、計器類を一瞥してから、イグニッションキーを一段右へ廻す。電気ポンプが軽いうなりを上げて100 リッター入りタンクから96オクタン燃料を噴射ポンプへ送り込むのを数秒待って、キーを更に一段右へ廻す。途端に、3リッター6気筒 OHC 250 HPエンジンは輝然とスタートした。正面の計器パネルの左にある、7000rpm までのタコメーターの針が、800 の辺りで小刻みに振れ、細かい振動がかすかに伝えられるだけで、エンジンの機械的なノイズや排気音は、アイドリング時には殆んど聞こえない。油圧、油温、水温計の指度を確認し、はやる気持を抑えながら、慎重にスタートする。2000rpm まで廻転を上げ、深いクラッチを静かに合わせると、この馬力荷重5.3kg / HPの途方もないパワフルなメルセデスは、まるで3トン半のロールスの様にスムーズにスタートした。ロー、セカンド、サードを5000rpm まで踏んでゆっくりと2000mのコースを一周する間にやヽ自信と落着きを取りもどしたので、2周目は各ギャで6500 のマキシマムまで踏み込んだ。東のゆるいバンクをセカンドで廻り、一気に加速すると、600m のストレートの終りではトップで180km/hに達した。最終減速比3.42 のこの300SL のマキシマムは242 km/hという事になっているが、この村山のコースでは180というのが限度で、あとは腕よりも胆つ玉のサイズの問題だと思った。この日横に乗った同乗者の幾人かは生れて初めて100km/h以上の速さで走ったのであったが、異口同音に全々恐ろしくないばかりか、一向に速く感じなかったといった。メルセデスのすぐれた高速安定性を裏書きするものであろう。
CG1962年4月創刊号より。