トヨタが消費税増税に熱心な理由
消費税はあくまで国内での消費の税制であるから、海外に輸出した場合の相手からは消費税を取れない。その際、輸出品に関しても、仕入れ先や下請けには消費税を払った形になっている。そのままでは輸出企業は払った消費税を損することになるので、輸出の妨げになる、という理由で輸出の場合はゼロ税率となっている。
理屈の上では正しいのだが、実際には大手の輸出企業が仕入れ先や下請けにほとんど消費税を払っておらず、力関係で彼らに消費税を負わせているのが実態。つまり消費税の還付は大企業の丸儲けとなっているのだ。
この還付金額は、輸出業者上位10社で年間1兆円を超す莫大なものとなっている。
この件は過去の国会でも何度か問題となっている。その都度、政府の回答は、「理屈としては問題ない。後は業者の取引の関係なので国が介入することはできない」で終わっている。消費税が我が国に導入されて20年が経つが、過去、この件に関する新聞報道はほとんどなかった。
消費税増税論者は、この件に関しては、消費税の所為ではなく、公正取引委員会の管轄の問題だと逃げる。
仮に現在5%の消費税が10%になった場合、輸出産業トップのトヨタは現在3,000億円程度が還付されているので、単純計算で6,000億円になる。これがほぼ利益となるのだ。だから経団連は当然のことながら消費税増税に賛成する。新聞やTVは企業の広告費が伸びることを期待して増税を支持するという構図となっている。
本来なら下請け三法というのがあって、下請けイジメをするような商取引は禁じられているが、労働基準法と同じで名ばかりの法律となっているのが日本の現状だ。本来であるなら、消費税と不当な商取引はセットで論じられなければならないのだが、それを知ってか知らないのか、世の中の風潮は増税やむなしの方向へと向かっている。