LANCIA LUNCH 2010 その8 LANCIA DELTA S4 Group B


4WD 水冷直列4気筒 DOHC 1779cc TURBO Supercharger 450ps/6750rpm

狂気と呼ばれたグループBの怪物ラリー・マシンの中でも、一番コントロールが難しいと言われていたのが、この“S4”だった。シャシーの性能を圧倒的なパワーを誇るアバルト・チューンのエンジンが優っていたからだ。最終的には600馬力を絞り出していたらしい。

怪物“S4”を無理やり捩じ伏せて乗りこなした天才 Henri Toivonen による神業のようなドライビングが伝説となっているのは有名な話だ。


会場には“S4”がナンバー付きで展示されていた。







ルーフには Miki Biasion のサインがある。ルーフにはエア・インテークが備わる(ストラダーレではダミー)。

「037やその後のグループAデルタでは、道幅をフルに活用できた。S4ではコースの中央にいなくてはならなかった。行きたい場所を選ぶのは〝彼女〟だったからだ。操る喜びは一切なかった。そこにあるのは限界まで加速するという喜びだった。でも、強烈に魅力的だったよ。僕に最も感動を与えてくれたラリーカーがどれかといったらS4を挙げるね。狂った馬を抑えつけるとでも言えばいいのかな。ドライバーにとって支配する喜びは、何物にも代え難いんだ」
Miki Biasion のインタビューより。(RALLY&CLASSICS vol02より)

1986年5月のツール・ド・コルスで、トップを快走していたヘンリ・トイヴォネンはSS18でコーナーにオーバースピードで進入。コースアウトを喫し崖から転落、マシンは炎につつまれ、彼はコ・ドライバーセルジオ・クレストと共に帰らぬ人となった。