LANCIA LUNCH 2010 その7 LANCIA Delta/Delta S4
“LANCIA Delta HF TURBO”
FF 水冷直列4気筒 DOHC 1585cc 130ps/5600rpm 最高速度195㎞/h
こういう素に近いデルタが好ましく思える。デルタと言えば、90年代に日本で一世を風靡したランチアで、特に原型から遠く離れたドーピング仕様の“Integrale”は輸出向けの半数が日本仕様となったほどだ。“16v Evoluzione II”限定車のコレッツィオーネやジアッラは共に日本向けに作られた仕様と言われている。
500万円台のクルマが飛ぶように売れたのだから、ディーラーにとっては旨みのあるクルマだったはずだ。
あの頃、外車を齧り始めた自分にとっても、WRCでアウディ相手に大活躍する憧れのクルマであった。しかし実際にオーナーと話すと、恐ろしくぶっ壊れる壊れ自慢に続き、最後は奥様の猛反対で泣く泣く手放す(この手の話は昔からたくさんありますな笑)という悲しい話ばかり。化けの皮が剥がれた厚化粧の女性という感じで、片思いの熱はあっという間に消え去ったのだった。
そうそう、マツダが調子に乗って街の中古屋さんがメインのオートザムというディーラー・チャンネルでランチアを売っていたよなぁ。
高級車ランチアと共に売っていたのはマツダの軽自動車!!
ランチア・デルタの横で「満タン納車頼むよ」なんて商談の声が聞こえるのだから……バブルの時代の浮世離れしていた自動車業界だったねぇ。
いま思えば、デルタは打倒ゴルフを狙ったクルマであり、実用的なファミリーカーとして誕生したはずだ。よって、普通のグレードがバランスがとれた本来の姿なのだと思う。ふと思ったのは、スバルのインプレッサも同様で、過激なWRXばかりが売れて素のグレードはさっぱり見かけないことと、デルタがだぶって見えてしまうのだ。
ラリーで活躍するクルマの宿命なのだろうか?
“LANCIA Delta HF 4WD”
4WD 水冷直列4気筒 DOHC 1995cc 166ps/5250rpm 最高速度207㎞/h
“LANCIA Delta S4”
4WD 水冷直列4気筒 DOHC 1759cc TURBO Supercharger 250ps/6750rpm
最高速度225㎞/h
会場にはストラダーレの“S4”が数台来ていたのには驚いた。
このクルマ、91年のSUPER CG 09号によれば、当時のディーラー“ガレージ伊太利屋”によって1台だけサンプルとして輸入され、旧運輸省の型式を取得するための作業にまわされたはずだ。三元触媒も得て、型式も取得でき、いざランチアにオーダーしても、それ以降S4は1台も来なかったそうだ。怪物グループBがレギュレーションの変更によりラリーに参加できなくなったため規定の200台を製造出来なかったというのが真相なんだと思われる。