岡本太郎現代美術展 岡本太郎賞受賞作品 金時/Kintoki
岡本太郎現代美術賞展に置いて、見事に岡本太郎賞を受賞した作品「金時」である。審査員全員一致で受賞となったようだ。
富や地位の象徴であるトヨタ・センチュリーを焼き芋移動販売車にしてしまう発想はアナーキーであり、岡本太郎の思考である権威あるものへの破壊こそを実現した作品といえよう。しかも芸術という大衆からかけ離れたものを焼き芋販売という手法で公共芸術として具現化したものである。自分は食べることが出来なかったが、販売される焼き芋のレベルが素晴らしく美味しいとのこと。
ベースは平成6年登録のセンチュリー。
以下、審査評より。
デコラティブな焼き芋移動販売車 言ってみればそういうことなのだが、そこに詰まった知略と経験、技術と実践の蓄積はただ事ではない。そもそも自家用車と焼き芋の調理・販売が合体していること自体、尋常ではないのだが、戦後の復興や食糧事情のなかで日本ではそれが許容され、多くの庶民に歓迎されてきた。作者はこの盲点をつき、公道で作品=店舗として展開し、移動式のパブリック・アートと位置づけている。それだけではない。とかくこの手のプロジェクトはコンセプトが先立ちがちだ。が、焼き芋に掛けた彼らの探究心は本物だ。その味の極上さと来たら!
美と力と味と道が合体した本作はまさに岡本太郎賞の名に値する。文句無しの全員一致。