1953 Peugeot 203 Darl'mat


Peugeot 4cyl OHV 1290cc 50hp MAX 150km/h.


 Emile Darl'mat(1892-1970)は Peugeotのカロジエ(仏語でカロッツェリアの意)。1923年にクリーニング工場を買取りガレージに改造、同年にはPeugeotディーラーも経営することとなり、Peugeotの顧客の好みに応じてボディを架装した少量生産のスポーツカー・メーカーとなった。
 1938年のル・マンに於いては、Peugeot 402をベースとして仕立てた Darl'Mat 402 DS(Darl'mat Special)が総合5位、2リッタークラス1位の成績を収める。



1938 Le Mans 5th #24 Darl'Mat 402 DS


 戦後は Amilcarのシャシーを流用し、Peugeot 402のエンジンを搭載したフォーミュラーで善戦。そして1946年末には、Peugeot 202をベースにアルミニウム製の空力ボディを架装した 202DSを開発。CX 0.296という当時としては驚異的な空気抵抗係数値を誇り、見事に3つもの世界速度記録を樹立することとなる。



202 DS


 1953年の Peugeot 203 Darl'matは、車名が示すように、Peugeot 203のエンジンやシャシーを流用した速度記録挑戦車であった。当初はドアにガルウィングを採用*1していたが、高速走行時騒音が酷く、世界速度記録挑戦時には不採用となる。



ガルウィングを採用したプロトタイプ。



天井から垂れ下がる形式のワイパーに注目!


さて肝心の世界速度記録挑戦なのだが、残り1時間でピストンが吹っ飛び、その修理の際に Peugeot純正のピストンと交換しなかったために。。。失格とあいなり候。

*1:メルセデス・ベンツ300SLに先駆けたガルウィングである。