1954 Ford Comete Monte Carlo coupe


Ford V8 OHV 3923cc 105ps MAX 155km/h.


 Cometeは 1950年に Ford -Franceの CEOに就任した Francois Lehideuxによる個人的なプロジェクトである。戦前の彼は、1934〜1938年まで Renaultの CEOとして君臨していた。
 あまりにも大きい Fordの大衆車イメージから、彼は独立したブランドとして高級車を出すことを試みる。そこでボディ架装に白羽の矢を立てたのが Facel-Metallonだったのだ。
 デザインは Facelのデザイナー Jean Daninosであり、Fordのデザイン・スタジオにも極秘裡で計画が進められ、1951年 Biarritzでの発表時まで彼らはその存在すら知り得なかったのである。
 Cometeには Fordのエンブレムはどこにも取り付けられてはいない。今日のトヨタ・レクサス同様に、Fordの企業イメージと高級車は相容れないものだったのだ。
 エンジンは当初、貧弱な60馬力のエンジンが搭載されたが、53年式の Monte Carloから Fordトラック用のV8エンジンが搭載された。新型のエンジンがトラックということに顧客は失望したばかりでなく、フランスの馬力課税の当時の上限である22CVというクラスは維持費が途方もないことを意味していた。ギアボックスは3段のコラムシフト・マニュアルである。1951〜1955年までに Cometeは 2165台が生産され、その内の 699台が Monte Carloとなっている。



特徴的な格子型グリルは、「フレンチ・フライド・ポテト・カッター」とも称された。ボンネット上のエアインテークはダミーである。

このプロジェクトがきっかけとなり、 Facel-Metallonは自ら自動車メーカー Facel Vegaを起業することになる。



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