Racing management Alan Mann (1936-2012) Part2


Alan Mann was also great team leader for the drivers of the cars he prepared. He is seen here at the 1964 Spa 24hrs, in discussion with a group of his drivers. Left to right:Tony Hegbourne, Henry Taylor, Frank Gardner, Peter Harper in dark glasses, Alan Mann, Sir John Whitmore.

 チーム・マネージメントは多面的な活動なので、教科書のように理路整然と書き出すわけにはいかない。しかし、その仕事の範囲を説明するには、ヨーロッパで開催される典型的なレースを例に、その最中に実際なにが起きるのか、スタートからフィニッシュまで一緒にお付き合い頂きたい。
 そこで私が選んだのは、1964年6月21日、有名なドイツのサーキットで行われた‘Nuerburgring 6h-Saloon Car-Grand Prix’である。我々はこの厳しいイベントに2台の Cortina Lotusをエントリーし、チーフ・ドライバーには、Sir John Whitmoreと Henry Taylorを採用した。さて、規則書には、レース中1人が4時間以上運転してはいけないことが記されていた。ということは、厄介なことに2人の副ドライバーを探さなければならないことを意味していた。
 これはそれほど簡単なことではない。同じ日の週末にはル・マンで24時間レースが開催されるので、大勢の一流ドライバーはそちらに流れるので頼むことは出来ないのが大きな障害であった。そのために Tony Hegburnと Peter Harperと話がまとまるまでに、私は何度も電話をしたりして、大変な時間がかかった。
 規則書と申込書は大会の1ヶ月前に入手した。もちろんドイツ語である。まず直ちに英語に翻訳してから、これを注意深く読むことにした。どこかに落とし穴があるかもしれない。
 エントリーは Royal Automobile Clubの承認を得て、6月1日までに1台につき150ドイツ・マルクの申し込み料を添えて主催者に提出しなければならない。これもただ小切手を送るのではなく、イングランド銀行の高飛車な怒りっぽい事務員に換算してもらう必要があるのだ!
 また宿泊先の確保もしなくてはならない。同時に3人のメカニック、4人のドライバー夫妻、それに私の分までだ。この問題が一番大変で、BMCや SAABその他がアイフェル山中のトップクラスのホテルから村長の娘の家まで、ベッドを先に確保しているのだ。もっとも近い町から 32kmも離れた山中にあるサーキットで行われるイベントでは、適切な宿を確保するのは大問題だ。しかし、サーキットから離れた場所でリラックスするのはドライバーの精神健康面でも良い話だが、ドライバーもあまり離れた場所は嫌がるのが難題である。