Racing management Alan Mann (1936-2012) Part1

3月21日、偉大なるレーシング・チームのオーナーであった Alan Mannが75歳で亡くなった。60年代に FORDのレーシング・チームとして欧米で大成功を収めた男である。その彼が残した手記を数回に分けて紹介する。



1964 Spa 24h the European Touring Car Challenge Jacky Ickx


 どんな大レースでも、お金を払ったお客さんが見入るのはドライバー、メカニック、オフィシャル、それに目立つ有名人たちである。もちろん彼らは、結果が良かったレースでは重要な人たちだ。
 しかし、クルマをスターティング・グリッドにつけるまでに各チームによって周到に準備されたことまで、一般の観衆は考えもしないであろう。私はこの観客から認められないか、考えてもみられない1人の人間がチーム・マネージャーだと信じている。その仕事は複雑で、尽きない問題で詰まっているが、私は華やかなレースの影で、なぜこのような仕事が必要なのか、この概略を説明してみたい。
 どんなレーシング・チームでも来る日も来る日も問題が起き、これらは全て急ぎでしかも確実な解決が要求される。これらの問題を上手く解決するのは、チーム・マネージャーただ1人の男である。彼の立場は孤独なものであり、またそうでなければならない。チーム・マネージャーは船長でなければ、彼の仕事に絶対必要な権威でもってコントロールできない。大手メーカーが次々とレースに参戦してくるので、この仕事の重要性が増してきた。本当のレースやラリーの厳しい現実について、少し知っているか、まったく知らない人間に対し、自分の行動を説明したり言い訳したりしなければならないとしたら、コンペティションやチーム・マネージャーの仕事はすぐにできなくなる。しかしながら、その決定を疑いもなく受け入れて信頼できる間違いのないマネージャーを選ぶことが、コンペティションまたはレース部門を成功させる1つの大きな要因であることを、これら大メーカーの多くが認識してきている。
 あるチームはそれほど上手く行かず、マネージメントの不手際で悩むか、融通の効かない誤った指示で息も詰まりそうになるか、何れにしても結果はいつも同じで、ぐずぐずした用心深い決定で、チーム内に波風が立つのである。これらの2つの要素は、スタートについたとしても、既にレースの半分を失っているのだと言いたい。