Goodwood Festival of Speed 2011 その5 Abarth 1500 Biposto (1952)


水冷直列4気筒 1480cc 2valves OHV 75ps/5700rpm 最高速度180㎞/h


1952年のトリノ・ショーにてフィアットのブースにて発表されたワンオフベルトーネ時代の鬼才フランコ・スカリオーネによる傑作。当時の人々に与えた衝撃は、シトロエンDSがパリサロンで発表された時に人々が受けたものと同等のものだったであろう。
この後、ベルトーネは空力を追及したB.A.Tシリーズ*1をアルファ・ロメオ1900ベースで次々と発表することになる。


熱心に孫に説明するオジイチャンが微笑ましい。このような光景は会場のいたるところで見受けられた。エンスーの国らしいなぁ。



リアのトランクは、スペア・タイア専用。


 フィアット・ベースのアバルト第1号車としても記念すべき1台で、トリノ・ショー直後にパッカードが大変に気に入り、自社デザインの研究用として購入した。カルロ・アバルトにすれば、それを足がかりに北米市場への参入を画策していたようだ。しかし、その野望は霧散することになる。仮定の話であるが、このクルマが量産されれば、アバルトは高級スポーツカー・メーカーとなっていたのかもしれない、と考えると興味深い。
 その後クルマは、雑誌編集者の手に渡り、主に子どもの送迎用として大切に使われたが、70年代にガレージに入ったまま、2003年まで惰眠を貪っていたという。よって50年間の走行距離は3万キロ前半。一時期ブルーに塗装されていたが、レストアされる過程でオリジナルに戻された。

*1:Berlina Aerodinamica Technicaの意。