2010年度 輸入車新規登録台数

2010年度の輸入車登録台数が発表された。
VW………………46,707台
BMW……………32,426台
MercedesBenz……30,936台
Audi………………16,854台
BMW MINI…………11,338台
Volvo………………7,894台
Peugeot……………6,021台
Fiat ………………5,562台
Porsche……………3,335台
Ford ………………3,047台
Renault……………2,537台
Citroen……………2,402台
Alfa Romeo ………1,816台
Jaguar ……………1,138台

Ferrari 493台
Maserati 287台
Bentley 136台
Aston Martin 121台
Rolls Royce 74台
Lancia 68台
Lamborghini 60台
Maybach 6台
Bugatti 2台

http://www.jaia-jp.org/wp-content/uploads/201012NewCarNews.pdf

前年比13%増となっているが、これは海外で生産された日本車も入っているので、納得がいかない数字だ。
オランダやスペインの人も当ブログの読者となっているので、日本の特殊な輸入車事情を説明しておこう。
はっきり言えば、チョンマゲの時代と変わらない鎖国状態が続いている。日本での輸入車のシェアは10%にも満たないままなのだ。


戦前は海外メーカーのクルマのシェアが圧倒的で、フォードなんぞは横浜に工場を持ち生産していた。何せ日本車は軍用車が主で、まともな乗用車が事実上なかったのだ。
戦後、自動車産業は政府の保護下にあり、1965年まで自動車の輸入は自由化されていなかった。そのためトヨタや日産などは有利にビジネスを行なうことができた。
自由化された後も、当時の固定相場1$=360yenという円の価値の低さに、輸入車が売れることは無く、一部の富裕層やヤクザが乗り回すというイメージが定着されてしまったまま、円高の現在でも高額な商品というイメージだ。
特に田舎では日本社会特有の保守的で閉鎖的な習慣が根強く、輸入車を買える所得があっても、政治家や会社経営者の殆どは国産車に仕方なく乗るという風習が強い。日本の田舎では大衆車フィアットでさえも、金持ちの道楽と見られてしまう傾向が強いのだ。
大都会では逆で、一部の人たちは日本車に乗っていることを格好悪いことと思う人たちもいる。
特に東京都港区では、大衆車カローラよりもメルセデス・ベンツの方が圧倒的にシェアがあったりする。
日本人のドイツ車に対するイメージは信仰に近いものがある。自動車評論家と称するゴマすり上手のほとんどはメルセデス・ベンツを所有しているし、あのスリーポインテッド・スターが付いていれば、商用車でさえ売れてしまうのが日本のマーケットだ。北朝鮮金正日は大のメルセデス・ベンツ好きだが、彼の所有する中古のベンツが日本の某ディーラーから送られていたことは極秘である。
その反対に、イタリア車やフランス車に対するイメージは相当に悪い。デザインは良いのだが、壊れてお金がかかるというイメージが染みついている。ポルシェより売れないルノーシトロエン、それにアルファ・ロメオ……。
その中でもプジョーはなかなか健闘しており、フィアットは500の成功で大ブレーク。アルファ・ロメオはATの設定があるクルマが殆どなく苦戦している。ちなみに日本のAT車比率はアメリカを抜いて世界1位となってしまった。

また日本人の美的感覚は中国人と似ている。たとえば大げさなグリルをつけたクルマが好まれる。メッキでギラギラした悪趣味なものが嗜好されるのだ。
それと、もうひとつ特徴的なのは、スモーク・バイザー(ウィンドウ・バイザー)がほぼ99%装着されていること。特に日本車ユーザーには多い。これは商談の際に営業マンが見積もりで頼みもしないのにサービスしているからだ。実際、タバコも吸わないユーザーがエアコン付きのクルマでスモーク・バイザーを付けていることが多い。クルマによってはデザインをスポイルさせ見栄えも悪い。
近年、日本では若者のクルマ離れも業界では問題となっている。大都会ではクルマの維持費が高く、公共交通も発達しているためにクルマが不要となっている。一方の地方都市ではクルマは必需品であるが、スポーツカーを求める若者は皆無に近く、みなオジサン臭いワゴンに乗って喜んでいるのが現状だ。ホテル代わりにしているのかもしれないが…。昔は女性を誘うのにクルマは必需品で、若者はローンを組んでスポーツカーやクーペを求めたものだ。クルマが無いのは男じゃない時代が続いていた。
若者の就職難も最近のクルマ離れに拍車をかけている。若者の多くが非正規雇用トヨタや日産で働かされている。低賃金で劣悪な環境で働かせ、簡単に解雇することができる派遣労働者の増加は日本国内でのクルマの売り上げを低下させる要因ともなっている。景気の良い時は日系ブラジル人を多く低賃金で働かせていたが、それも解雇され、いまでは新たな人種差別を生みだしている。貧困から差別そして犯罪者となる負の連鎖が始まろうとしている。

このように特殊な日本の自動車マーケット。外国メーカーが苦心するのも当たり前な異常な世界なのである。