高梨廣孝 氏によるScale 1/9  Indian Chief 1948

 Indian Motocycle Manufacturing Companyはアメリカはマサチューセッツ州スプリングフィールドを拠点に1901年、アメリカ初のモーターサイクル「1901シングル」を発表し創業します。元々は Hendee Manufacturing Companyとして創業しましたが、1928年にIndian Motocycle Manufacturing Companyに社名を変更しました。塗装の深みのある赤は Indianのイメージカラーとなります。

 1922年・V型2気筒1000ccの「チーフ」を発売。外見上はサイドまで回り込んだ大型のフェンダーが目につきます。技術的にはアメリカで初めて「密閉式」アルミニウム製プライマリーケースを採用しておりました。翌年には1200ccも販売されています。しかし、ライバル社の Harley-Davidsonよりも高価で重いボディは徐々に米国市場から駆逐されていき、長い低迷の末 1953年に同社は精算されます。

 現在、市ヶ谷の山脇ギャラリーで行われているAAF作品展に手品されている高梨氏による作品である。彼の作品の緻密さが写真で感じていただけるだろうか。フルスクラッチビルドで作られた究極の模型といってよいだろう。銅、真鍮、洋白といった金属素材を使い、接合は銀ろう付けで行う。フェンダーは熱してなましてから様々な金槌で叩き出す。ホイールは旋盤によるもの。チェーンも真鍮製のパーツを作り組み立てているのだ。

 これだけ手間ひまかけた自身の作品を高梨さんは他人には売らない。値段がつけられない高梨さんの魂が作品にはこもっているのだろう。