Fairthorpe
Fairthorpe社は英国はバッキンガムシャー州に1954〜1976年まで存在した自動車メーカー。第2次大戦中、イギリス空軍 (Royal Air Force)爆撃部隊の偵察隊司令官として勇名を馳せた Donald Bennett少将によって設立された。生産車のほとんどがキットカーとして市場に送り出された。
Fairthorpe Atom(1954-1957)
最初に発表した Atomは Triumphのメカニズムを流用し、リアにバイクのエンジン(650cc)を搭載したチェーン駆動、グラスファイバーボディの奇妙なクルマであった。しかしながら俊敏で経済的なことで成功を納め、エンジンをフロントに移設した Atomotaが生産されることとなった。お世辞にも格好の良いデザインではなかったが、いずれも製造コストを下げるためにキットカーであり物品税の課税対象ではなかったので完成車よりも25%も安く、クルマを所有したかった英国エンスージアストの心をつかむことになる。
Fairthorpe Electron(1956-1965)
Fairthorpe Electron Minor(1957-1973)
1956年にはオープン2シーターで Coventry Climaxエンジンを搭載した Electronを発表。翌1957年には廉価版で Triumphの直列4気筒OHV 980ccエンジンを搭載した Electron Minorが登場した。これは財布の軽いエンスージアストには好評で、英国内のクラブレースで活躍。改良が続けられ1973年まで製造された同社の経営を支えるクルマとなった。
Fairthorpe ZETA(1960-1965)
Electronのシャシーに Ford Zephyrの直列6気筒OHV 2600ccエンジンを搭載したスポーツカー。BRM製のヘッドと6キャブレターによって Fairthorpe最速の210km/hを誇った。
Fairthorpe Rockette(1963-1967)
Triumph Vitesseの直列6気筒OHV 1600ccエンジンを搭載。ライトウェイとの Electronとは対照的なGTの性格をもつ。
Fairthorpe TX1(1965-1973)
1965年のロンドンショーで発表された、創設者の息子である Torix Bennettによる設計。相変わらずデザインはアレだが、リアのサスペンションはトランスバース・ロッドによる凝ったもので、コーナーリングの際もタイア接地角はほぼ垂直を保ち、そのトラクションとグリップ力を最大に発揮できるようになっていた。シャシーとエンジンは Triumph GT6を流用。
Fairthorpe TX-S(1968)
その後、TX1をベースにリアゲートを備えたクーペとしたGTが登場。そしてその廉価版の写真の TX-Sが登場する。これにはリアゲートはない。
たぶん、それまでの Fairthorpe車のなかで一番見栄えが良いクルマと思われる。シャシーとエンジンは Triumph GT6を流用。
写真の個体は先週土曜日に行われた、コッパディ東京の参加車。珍しいフェアソープが日本に生息していたことに驚いた。