French Blue Meeting 2012  Matra M530 LX

Ford V4 OHV 1699cc 75ps/5000rpm.

 René Bonnetの夢の結晶である、世界初の市販ミドシップ・スポーツカーであったRené Bonnet Djetの生産を引き継いだ Matraであったが、初めから高コストで高価格の Djetが商業的に成功するとは考えておらず、新設された Matra自動車部門の顔見せてきなものであった。

 Philippe Guédonによって設計された M530は Djetよりも製造コストが掛からず、より低価格で提供することにより、生産台数を増加させスポーツカー・メーカーとしての地位を確固たるものとするという意図で造られた。既に Matraはモーター・スポーツに積極的に参加、F1とル・マンへの本格的な挑戦を開始つつあり、そのイメージが新型スポーツカーの販売に好影響を与えるだろうという目論見であった。1967年のジュネーブ・ショーで御披露目されている。


 最大の特徴はミドシップとしては世界初の2+2(後ろは子供しか座れないが)のレイアウトにある。これにより高い実用性を誇ることとなったが、Djetのようなピュアなスポーツではなく、小型スポーティーカーを目指したのが理由である。このため西ドイツ・フォード製のFF用V4エンジンは、その性能の為ではなく、前後長が短く扱いやすく、かつそのまま流用できることから選ばれた。最高出力は73-78馬力に過ぎなかった。ギアボックスもそのまま流用されている。
 ルーフも世界初のタルガトップで左右分割方式。初期型はリア・ウィンドウがアクリル製で取り外しが可能、リアのトランク(前もトランクである)に収納ができる。
 

 エンジンはリア・シートの直後にあり、リア・ウィンドウを開閉して、グレーのボックスを開きアクセスする。69年末に Matraはモーター・スポーツ部門の赤字を埋めるべく CHRYSLERと提携関係となる。これにより Ford製V4エンジンの供給が打ち切られ、73年には生産が打ち切られることとなった。