Le Mans Classic 2012  1GRID 1923 - 1939+ Entrants Part 12 1937 Delahaye 135 S


1937 Delahaye 135 S
Delahaye 3565cc 6cyl.

 1936年に於いて、理想的なフランスのスポーツカーは 135 S(Special)であったと言われている。それは Delahayeで最も多く量産された6気筒エンジンを搭載し、シンプルで美しいコンペティション用のボディを架装されていた。戦前のモータースポーツに於いて、スポーツカー・レースとラリーの両方で活躍している。
 その堅牢な6気筒エンジンは、保守的なプッシュロッドOHVがレースにおける信頼性を確保し、3.5リッターの控えめな排気量は燃費に貢献した。このエンジンは、ほぼ15年もの長きにわたり Delahayeが製造していたものであり、元々はトラック用に使われていたものだ。Delahayeの技術者 Jean Françoisは、コンペティション用として新型のブロックとヘッドを設計し直した。それは2気筒目と3気筒目との間にウォータージャケットを追加している。ヘッドは高圧縮比に耐えられるもので、バルブも大経の軽量化されたもの。ラジエターも大型化され、クランクシャフトも高回転に耐えられる軽量化されたハイカム仕様となっている。Solex製3連キャブレターと排気ポートも気筒毎に独立した高度な設計である。
 これにより、コンペティション用は160馬力を発生、市販モデルと比べて50馬力以上のパワーアップとなった。元トラック用の 3.2リッター・エンジンであったのだから、その堅牢さにも定評があった。
 これに組み合わされたギアボックスは、何とセミ・オートマチックとも言えるもので、Cotal社製 electromagnetic gearboxを搭載していた。これは2組のプラネタリー・ギアを電磁式クラッチで操作して4段に変速するもので、クラッチを踏むことなく、ステアリング・コラムの左に突き出したアームの先端についた小さなHゲートのレバーを指先で動かすだけでシフトできる。通常のギアボックスよりも40kgも重く、故障が多いのが欠点だが、Delahayeはコンペティション用に採用。モンテカルロ・ラリーやル・マンにもこれで挑戦している。確かにイージー・ドライブはドライバーの労力を減らし、ル・マンなどの長距離耐久レースには向いていたのかもしれない。ただし故障しなければの話であるが。3.2リッターの排気量を 3.6リッターとしたのも、この Cotal社製ギアボックスによる40kgもの重量増を相殺するためだったとも言われている。
 シャシーはコの字断面のメンバーで構成されるラダーフレームで中央はフロアパンが溶接されて補強されている。後輪は並行のリーフ・スプリングで吊ってあるが、前輪は 1935年に Delahayeが併合した Delageの設計を採用した。上部のウィッシュボーンと下部のアームを兼用する横置きリーフ・スプリングからなる独立懸架となっている。これにより優れたロード・ホールディング性能と、正確でスムーズなステアリングが Delahayeの特徴となっている。
 1937年のル・マンに於いて見事2〜3位となっている。


こちらは市販バージョン。美しいボディが架装されている。