ヒッチコック マガジン 1961年7月号 自動車特集


 ヒッチコック マガジンは寶石社から1959年から1963年まで、二册の増刊を含めて全50號が發行された海外ミステリー專門誌である。
 然し乍ら、編輯長の中原弓彦(後の小説家、小林信彦)の趣味嗜好もあつて、映畫やパロディのページが多く、其のレイアウトやイラストも含めて、都會的に洗煉された雜誌と成つていつた。此れは明らかに時代を超越してをり、大部分が田舎であつた當時の日本では無理があつたやうである。自動車特輯は、ほぼ5年間發行された雜誌の中で、たつた1囘きりで終はつてゐる。まだまだ世の中はサラリーマンでもクルマは夢の夢の時代であつた。





 記事には興味深いものがあつた。此の前年60年まで、輸入車は年式が2年落ちのモノでしか輸入出來なかつたのである。61年から國別に臺數が決められて入札制と成つたが、記事ではジェトロ(貿易振興會)がピンハネするだらうと皮肉られてゐる。