1947 NUFFIELD MECHANIZATIONS “Gutty” Quarter-ton military prototype

the Heritage Motor Centre Motor Museum


水平対向4気筒 1800cc 40ps

 第2次大戦後、英国軍当局はスタンダードな軍用車を模索し、FVRDE(Fighting Vehicles Research and Development Establishment)を設立。英国製軍用車の開発を始めた。最小の車両は1/4トン、4輪駆動の多目的車と定められ、米国から供給された“Jeep”に代わるものとしてコードネーム FV1800計画が始動した。具体的には NUFFIELD MECHANIZATIONS*1に委託された。FVRDEからは、Charles William "Rex" Sewellが指導者として派遣され、サスペンションは Morris Minor や Miniの設計で著名な Sir Alexander Issigonisが担当した。
 2台の実寸モック・アップが 1945年の終わりから 46年7月までに完成、3台のプロトタイプが“Gutty”という名で造られた。それは殆ど“Jeep”から発展させたもので、モノコック構造と独立したトーションバーのサスペンションは Issigonisによるもの。当初は Rolls-Royce開発の B40 直列4気筒 2838cc エンジンも検討されたが間に合わず、Morrisが実験開発した水平対向4気筒エンジンが搭載された。大型のタイプは、当時 Issigonisが設計していた Morris Minorを考慮に入れていた。興味深いのはクラッチとブレーキペダルを2つ備えていたことで、簡単に右ハンドルと左ハンドルを切り替えできるようになっていた。

 “Gutty”は包括的なテストが行われ、多くの先進的な設計が見受けられた反面、頻発するオーバーヒートと、期待されたサスペンションがオフロードでは全く役に立たないことが判明した。1949年、 FV1800計画は“Gutty”を失敗作とみなし、“Austin Champ”に受け継がれることとなった。3台のプロトタイプの内、2台が解体されており、展示車は唯一現存する“Gutty”である。


ロンドンの国立陸軍博物館からの展示。

*1:他の自動車メーカー同様に NUFFIELDは大戦中、軍需生産活動に従事し、Mk.VI クルセーダー巡航戦車等を開発している。