Goodwood Festival of Speed 2011 CLASSIC ENDURANCE RACERS Part3


1939 BMW 328 MILLE MIGLIA KAMM COUPE
直列6気筒 1971cc 136ps
 この美しいクーペは、優雅な雰囲気に満ちている。その美しさはドイツ人らしく、当時の空気力学研究の最先端であった Kamm tail 理論によってデザインされていた。しかし、それはナチス・ドイツのN.S.K.K.(Nationalsozialistisches Kraftfahr-Korps= National-Socialist Vehicle Corps 国会社会主義自動車部隊)の命令と、その潤沢な国家予算により造られたものであった。
 328 の高速直進安定性を高めるために、シャシーは 200㎜ 延長され、Erektron と称された80%のマグネシウムとアルミの合金による鋼管スペースフレームは僅か 30㎏。この超軽量のシャシーに、組み合わされたボディーはアルミ製で、総重量は 760㎏に過ぎなかった。皮肉にもライバルのイタリアはミラノのカロッツェリア Touring による"Superleggera"工法によるものである。車体の空気抵抗係数は 0.35 という優秀なもの。チューンされた 136馬力のエンジンにより、最高速度は 230㎞/hにも達した。
戦前最後の1940年 MILLE MIGLIA に BMW ワークスの1台として参加した 328 MILLE MIGLIA KAMM COUPE は、残念ながらオイル系の故障でリタイアしている。同チームの 328 Le-Mans-Coupe(同じくTouring による"Superleggera"。39年のル・マンでは2リッター・クラス優勝)は優勝を果たしたが、操縦していたのは、1963年の第1回日本GPに Porsche Carrera 2 で参戦した Fritz Huschke von Hanstein その人である。


BMW 328 Le-Mans-Coupe 1940 MILLE MIGLIA winner drive by Fritz Huschke von Hanstein

 大戦を避けるためにミュンヘン郊外に隠されていた 328 MILLE MIGLIA KAMM COUPE だったが、戦後、50年代の初頭に事故に遭い、スクラップと化していた。その後、BMW GROUP CLASSIC の手によりレプリカが制作され、昨年のConcorso d’Eleganza Villa d’Este に展示された。


クリア塗装がない、マットのシルバー・ボディーに注意。



BMW 328 MILLE MIGLIA KAMM COUPE at 1940 MILLE MIGLIA