LANCIA LUNCH 2010 その5 LANCIA Stratos


水冷V型6気筒 DOHC 2418cc 190ps/7000rpm 最高速度230㎞/h以上

ベルトーネの鬼才 Marcello Gandini による傑作ボディに、エンジンはフェラーリDino246用エンジンを搭載したラリーに勝つためのマシン。
自動車雑誌で“時速40㎞/hでお尻が流れるのがわかる”と書かれていたことを思い出す。ストラトス使いの Sandro Munari しか乗りこなせない危険なクルマのようだ。


ストラトスは外から見れば最高のクルマさ。ドライバーにしてみれば“これに乗せてくれるのか!”と思う、素晴らしいスタイリングだよ。こんなマシンで戦えるなんてラリー冥利につきると思うだろ? だけど実際に乗ってみると、ちょっとアレなクルマなんだ。まず作りが良くない。ホコリや水が容赦なく入ってくるんだぜ。しかもフロントウィンドウの傾斜が強いから、夜になるとフロントガラスにいろいろなものが映り込んで前が見にくい。湾曲したガラスのお陰でコーナーの見切りにもコツがいる。走り出す前から、ラリー用のクルマなのになんで? と思うこともあったね。
走り出すと悩みは大きくなる。普通に走ってブレーキングしたぐらいではフロントに十分な荷重がかからないから、アンダーステアになる。ストラトスを曲がらせようと思ったら、ドライバーはアグレッシブに過重移動を行ない、ステアリングを切るタイミングを合わせてフロントを入り込ませなければならない。だけど、ここで気を抜いてアクセルを踏み込むと今度はオーバーステアになる。一度フロントが入ったパーシャル状態で我慢していないとならないんだ。そしてコーナー出口が見えたらスロットルを踏んでいくけど、これまたタイミングが早すぎるとアンダーステアになる。話しているだけでこれだけややこしいのだから、乗ってみたら大変なのがわかるだろう?
以上ストラトスの真実を語ったのはラリー界の無冠の帝王 Markku Allan Alén だ。
一般ドライバーにはキチガイに刃物というクルマなんだろうか?






この個体、フランスのランチア・ディーラーであるシャルドネ・チームのもので 1975年 Bernard Darniche がドライブし、ツールド・コルスを制したストラトスとのこと。なぜか会場には展示されてはいなかった。理由は謎だ。    

2006年の LANCIA LUNCH ではMiki Biasionの操縦でデモンストレーションを行なっている。

来年の LANCIA LUNCH では現在アバルト・ドライヴィング・スクール校長のSandro Munariを招くとのことで乞うご期待!!