フィアットのヒコーキ関係のお話


“G.91”

フィアットはかつて航空機産業でも有名だった。1969年に航空部門は分離独立、国有の“Alenia Aeronautica”となっている。
http://www.alenia-aeronautica.it/eng/Pages/Home.aspx
上の写真の小型攻撃機は1960年代初期のもので、NATO軍に正式採用されていた。



“1923, Mephistopheles”

悪魔と名づけられたこのクルマのエンジンは、なんと排気量21706㏄のフィアット航空機用エンジンA12Bisを搭載していた。アマチュア・レーサーの英国人“Sir Earnest Eldridge”の運転により、1924年7月6日、フランスは“Arpajon”の特設コースで、236.340㎞/hの世界最速を記録。残念ながらリバースギアを装備されていなかったために公認されず、ひと月後に出した234.980㎞/hで世界速度記録を樹立した。写真でわかるように駆動はチェーン・ドライブ。

フィアット製造の航空機は1920年代にはイタリア空軍の主力戦闘機となっていた。また20〜30年代にかけて、いろいろな記録飛行や飛行機レースでイタリア機が大活躍していた。





“1931, Macchi M.C.72”

この水上機には“FIAT AS-6”V24エンジンが搭載されている。これは2基のV12エンジンをタンデム結合したもので、恐ろしく長いシャフトを歪みなく鍛造する技術がフィアットにあったことを示している。スーパーチャージャーとの組み合わせで最高出力3100psという当時世界最高の出力を誇っていた。これで2重反転プロペラを回し、“Macchi M.C.72”は1934年10月23日には“Francesco Agello”大尉の操縦で(3回の飛行の)平均速度709km/h(440mph)という偉業を成し遂げた。これはレシプロ水上機の速度記録としては現在も破られていない。なお、この記録試験がM.C.72の最後の飛行となる。



“1933, FIAT CR32”

1933年に初飛行した“CR32”戦闘機はスペイン内戦に派遣され、ナチス・ドイツ製の航空機とともにフランコ将軍の率いる共和国軍側で使用された。



“FIAT BR20”
この双発爆撃機日本陸軍でも採用され、「イ式重爆撃機」と呼ばれた。イはイタリアのイなんだそうな。中国戦線で使用。


他にもイロイロあるのだが、“フィアット資料館”(一般未公開)にはスペースの関係上模型を展示している。
実機はイタリア空軍管理の“Museo storico dell'Aeronautica Militare di Vigna di Valle”に展示されている。
http://www.cmtonline.it/Museo%20Vigna%20di%20Valle%20I.htm