アルファ・ロメオ 100年の栄光と衰退 その2

我々が訪問したのは、アルファ・ロメオ100周年記念イベントの後だったので、Tipo B や、ディスコヴォランテ等、数台なれど重要なクルマが展示されていなかったのは残念なことだ。



1931 8C 2300

8気筒,DOHC,スーパーチャージャー,2336cc,155ps/5200rpm,最高速195㎞/h

ヴィットリオ・ヤーノが6Cシリーズの成功に続き送り出したのが8C2300だ。戦前戦後を通じて、アルファにとって最高のスーパースポーツカーとして高く評価されている(逆にいえば、戦前でアルファの時代は終わったともいえるのだが)。その魅力はさながらグランプリ・エンジンのような、ツインカム直列8気筒の2300㏄スーパーチャージャー付き142psユニット(レース用は180psといわれる)にあり、ロードモデルでも最高速は170㎞/hに達した。写真の車体は1933年のミッレミリア優勝車と思われる。



1931 8C 2300 MONZA

8気筒,DOHC,スーパーチャージャー,2336cc,165ps/5400rpm,最高速210㎞/h

8C2300の純コンペティション・モデルの“MONZA”。シリーズ中いちばん短い2650mmのホイールベースと通常は幅の狭いドアのないボディを持つ。8Cシリーズのスポーツカーレースでの活躍は、1933、1934年のミッレミリア、31〜34年のルマン24時間3連勝をはじめ枚挙にいとまがない。
“MONZA”はフェンダーと灯火類を外してグランプリ・レースにさえも出場している。展示車はこの“MONZA”GP仕様を再現したもの。“Museo Alfa Romeo”のためにアルファ・ロメオがスペアパーツから組み上げた車体と云われている。8C2300は全モデルを合わせても188台が生産されたにすぎず、“MONZA”はたった10台と貴重なので、事実、ホイールベース3100mmのルンゴのシャシーを切りつめて複製したクルマが多い。“Museo Alfa Romeo”の“MONZA”も、おそらく社内に残された当時の図面を元に、これまた当時を知るスタッフが監修して製作されたものだろうから、数多いレプリカの中では別格の存在といえよう。スクーデリア・フェラーリの塗色として知られるダークレッドのペイントが凄みを感じさせる。