Musée automobile de la Sarthe De Dion-Bouton


1885 De DION BOUTON et TREPARDOUX Dog-Cart prototype à vapeur

 De Dion-Boutonは 19世紀末から 20世紀初頭に存在した自動車メーカー。1883年に Jules-Albert de Dion伯爵によって設立された。パリのオモチャ店で見つけた蒸気機関の科学玩具に興味を持った伯爵は、それを制作した職人の Georges Bouton と彼の兄弟である Charles-Armand Trépardouxと組んで、「世界初」となる自動車の技術を数々と生んでいった。
 1882年には自走式蒸気自動車を開発。この Dog-Cart prototype à vapeurは4気筒の蒸気エンジンを搭載。チェーンによって前輪を駆動し、後輪がステアする。1893年には乗り心地を改善するためにド・ディオンアクスルを発明、特許を取得した。このサスペンション方式は、その後多くの自動車メーカーが採用することとなる。



1902 De Dion Bouton Type G Vis-A-Vis

 De Dion伯爵は1895年に世界初の自動車クラブである、フランス自動車クラブ(ACF)を設立。1898年には世界初の自動車ショーである、パリ・サロンを開催した。
 伯爵は技術者ではなかったが、抜群の経営センスがあり、彼自身が主催した自動車レースである、パリ〜ボルドー間レース(蒸気、電気、ガソリン車が参加した)の結果を見て、蒸気自動車の時代が終りかけていることを強く実感し、ガソリンエンジン車に転向することを考えた。1890年にはガソリン単気筒エンジンの特許を取得。150を超える様々な自動車メーカーとモーターサイクルのメーカーが De Dion-Bouton特許エンジンを製造するためのライセンスを購入した。Type G Vis-A-Visはその単気筒 3.5馬力エンジンをリアに搭載した De Dion-Bouton初のガソリン車であり、世界初の量産小型車となっている。また電気式イグニッションを搭載したのも世界初であった。Vis-A-Visは対面に座るという意味であるが、文字通り運転手の前にも対面でベンチシートがあり向かい合って座るようになっているのが面白い。ヘッドライトは未だアセチレンランプであった。
 
 1900年には、De Dion-Boutonは世界最大の自動車メーカーとなっていた。その年間生産台数は 400台。また、3200台ものエンジンを生産していた。如何に多くのメーカーが De Dion-Bouton製のエンジンを搭載していたかがわかる数字である。