1963 LOLA GT Mk6


1963 LOLA GT Mk6
Ford 4727cc V8.


 Eric Broadleyにより設立された LOLA(ハリウッドのミュージカル映画『くたばれヤンキース』に登場する魔女の名前から名付けられた)。サラリーマンのかたわらで、1957年にフロントにエンジンを搭載した MK1でデビュー。2作目の Mk2では F1と Formula Juniorに参戦。レースの経験からミドシップがクルマの運動性能に有利であることを悟った彼は、1962年、 Colin Chapmanによる Lotus 25 Formula 1に触発されて、ミドシップ・スポーツカーの開発に着手することとなる。モノコックシャシーは、センター・セクションとラジエターとサスペンションを支えるフロント・サブフレームとで構成されていた。エンジンとトランスアクスルモノコックにボルトで留められている。ギアボックスとリアのバルクヘッドはリア・サスペンションを支える構造となっている。最初の1台はスチール鋼材のシャシーであったが、残り2台のシャシーはアルミニウム製となった。サスペンションはダブル・ウィッシュボーンのコイル。大きなV8エンジンを搭載可能なように設計されていたが、ホイール・ベースは当時のモノポスト・レーサーよりも短かった。
 この斬新なシャシーには Lotus Eliteのデザイナーである John Fraylingの空気抵抗の少ない魅力的なグラスファイバー製のボディが架装された。天井まで回り込んだ特徴的なドアは、ル・マン等の耐久レースに於いて、ドライバー交代が迅速に行えるように配慮されたもの。テールライトは Ford Cortinaのものが使用されている。
Mk6は 1963年の英国 Racing Car Showにて展示され、流麗なデザインと革新的なシャシー構成で会場の話題をさらった。これに早速目をつけたのが、打倒 Ferrariに燃える Fordであった。ユニークな設計の LOLA GTは、社内にてV8エンジン搭載のコンペティションを模索していた Fordが早速購入。北米は Detroitの隣町である Dearbornの本社工場にて徹底的な性能テストが行われた。同時に設計者であり LOLA CARSオーナーの Eric Broadleyともコンタクトをとり、同年夏には FORD GT計画が立ち上がるのは有名な話。
 1963年のル・マンにワークスで #6 Richard Attwood / David Hobbs組が出場しているが、ギアボックスの故障でスピンしてクラッシュ。151周でリタイアしている。
  LOLA GTは、耐久レースの設計に歴史的な1ページを残した革新的なマシンであったが、FORD GTの栄冠に隠れてしまって、知る人ぞ知るクルマとなってしまったのは、大変残念なことではある。