ABARTH DAYS  1955 FIAT Abarth 1100 207-A Spider Corsa / Boano



この綺麗で革新的なデザインは Mario Boanoによるもの。戦前 Pininfarinaに従事し、戦後は Ghiaの共同経営者となるも、1953年に独立しトリノに事務所を構えた。つまり創業直後の傑作というわけである。
ベースは当時の FIATの主力車種であった 1100。





魔法のような代わり映えには驚きますな。
エンジンはアバルト・マジックで 36ps→66ps/6000rpmに大幅パワーアップ。ボックス断面のフロアパンとシャシーはショート・ホイールベースに。サイド出しのマフラーにも注目。




デビューは1955年2月のNYモーターショー。
レーシング仕様の価格は約7,500ドルと、当時のアメリカ車最高価格の Cadillac Eldorado(6286ドル)よりも高価だった。
しかしながら、富裕層の人たちには好意的に受け入れられ、北米で行われた数々のレースに出場している。
http://ferrariexperts.com/abarth.htm#207

ところが総重量 522kgというのは、ライバルの LOTUS 9や 11と比べて100kgも重かったし、Climaxエンジンを搭載した LOTUSは明らかにパワーがあり戦闘力が上手だった。
1955 Sebring、1955 Cumberland、いろいろ出場したのだが、何れも大した成功を収めることはなかった。

初の北米上陸は結果的に失敗となった。デザインの良さに中身がついていなかったのである。LOTUSはあっという間に ABARTHを置き去りにして先を走っていた。