1974 Range Rover royal ceremonial vehicle State I

 1971年、英国王室の初代 Land Rover Stateを交代させようという動きが起きた。Roverのマネージング・ディレクターであった A B Smithは新しい‘Royal Car’として Range Roverを考えた。その後の2年間、たくさんのメモやスケッチやディティールの詳細画が Land Rover社と英国王室に送られた。



 State Iは通常生産される Range Roverからルーフとサイド・ウィンドウ、テールゲートを取り去った仕様となっている。運転席後部のバルクヘッドは前に移動し、後部の下に取り付けられていた燃料タンクは拡大されたパーテ−ションの間に移設された(万が一の爆弾対策もあるのだろう)。マフラーの消音器が増設され、後部ドアの下から出ている。これにより王室関係者が排気ガスの臭いに晒される心配はなくなった。

 王室関係者が立つ場合、リア・コンパートメントのシートは折り畳むことにより半分のサイズとなるし、取り外しも可能となっている。バルクヘッド越しの演説台には英国の不安定な天候状況を考慮して2本の傘が備えられている。

 たくさんの特別な部品が社外の部品会社から供給された。それにはボディ・パネルの一部も含まれており、アルミニウムではなく敢えてスチールが使用されている(防弾のためであろう)。革シートは家具製造業者が献上。英国王室御用達の業者により、すべてはタダで納品されている。


 こちらは先代の Land Rover State。



 何れも昨年訪問した Heritage Motor Centreより。