神奈川縣某所にて

 大人の遠足の續き。
 具體的には書けないのが心苦しいのですが、神奈川縣某所にある模型工房を訪問。
一般には知られてをりませんが、日本の自動車メーカーの仕事を請け負つてをられる會社であります。あなたも知らないうちにココの仕事を見てゐるのかもしれません。


過去の作品から。實車と間違へてしまひさうな出來です。

Ferrari 250GT Pininfarina Spyder SeriesⅡ(左)、1935 Rolls Royce PHⅡ(右)



Ferrari 500 TRC



 さあお立會ひ。此處に在ります日本の雜誌の片隅に書かれたサインは、かのバチスタ・ピニンファリーナのサインでござる。日本の某メーカーに勤めてゐた代表が、若かりし頃の1962年に會社の命令でトリノカロッツェリアに修行に出されてゐて、其の際に提携先のピニンを訪問した際に御大からもらつたもの。其の後彼は重役幹部のオースチンの訪問に同行。社員食堂で行はれた會議の最中、お供の彼は退屈さうに食堂の片隅で會議が終はるのを待つてをつた。其処に現れた中年の紳士が紙ナプキンにサラサラと何やら書き出した。中年紳士曰く「我社ではエンジン縱置きのクルマを造つてをつたが、いま開發してゐるのはエンジン横置きのクルマなんだ」と。ふーんと聞いてをつた若かりし頃の代表は、其の中年の紳士がスケッチしたナプキンをゴミ箱に捨ててしまつた。其の後で上司に其のことを言ふと、「お前に話しかけたのはサー・アレックス・イシゴニスだぞ!」。後の祭りで、貴重なイシゴニスによるスケッチは捨てられてしまつたのである。其の他、ピニンデザインの某車ワゴンのリア・ドアが左右で長さが違つてゐた事など、貴重な體驗話をお聞かせ戴いた。






 お孫さんのために造つたコブラのペダルカー。悲しいかな出來上がるとお孫さんは見向きもしなかつたさうで。嗚呼日本の自動車文化は何處へ。