MASERATI 4CL 1500


1939年、強敵アルファ・ロメオ Tipo 158 に対抗するマセラティからの回答が 4CL 1500 である。Tipo 158 が直列6気筒2ステージ・スーパーチャージャーに4輪独立懸架という高度な技術を惜しみなく投入していたのに対し、工員25名の町工場にすぎないマセラティ 4CL 1500 は4気筒スーパーチャージャーに後輪リジット・アクスルという極めて保守的なスペックで現れた。
しかしながら、新開発された1489cc 4気筒DOHCエンジンはマセラティ初の1気筒4バルブエンジンで出力220ps/8000rpmと、Tipo 158の195ps/7200rpmを上回り、最高速も240㎞/h以上というものだった。
アルファとの戦いの結果は残念なことに惨敗で終わっている。
高級スポーツカー・メーカーのアルファ・ロメオのワークスに対し、戦前のマセラティ・チームの体制はあくまで町工場にすぎなかったのである。


独逸カレラがモデル化した 4CL 1500 は1939年のトリポリGP(現在内戦中のリビア首都。戦前はイタリアの植民地だった)に1台だけ投入された空力スペシャルである。ドライバーはヴィッロレージ。
架装された流線型ボディの効果は抜群で、マセラティの2割増しのパワーを持つメルセデスが投入した怪物マシン相手に215.6㎞/hというスピードで見事ポールポジションを獲得した。しかし、力及ばず、マセラティが投入した空力スペシャルを含む3台はすべてリタイアとなった。
結果は怪物メルセデスW156の1〜2フィニッシュで終わっている。

戦前のイタリアのナショナルカラーは鮮やかな赤ではなく、落ち着いたワインレッドであった。