独裁者カダフィ大佐とイタリアの運命
前回の記事で、カダフィ大佐がフィアットの株を売却したと書いたが、その後02年にまたもや全フィアット株の2%取得していたのだなぁ。
02年と言えば、前年にフィアットは業績悪化で75億ユーロの負債を負っていたため、株価は低迷、カダフィ大佐が買い増ししやすい状況だった。
イタリアとリビアとの関係は古く、1911年の伊土戦争によりオスマン帝国からリビアを奪い、第2次大戦終戦まで植民地としていた経緯がある。
2008年にはベルルスコーニ買春首相がカダフィ大佐に対し、旧植民地時代の賠償金を25年にわたり年間2億ドル(217億円)を支払うことで合意していた。
もちろんこれには裏があり、そのかわりにイタリア企業に便宜を図るというものであった。リビアが投資しているのはフィアット、プロサッカーチームのユベントス(フィアット本社のあるトリノが本拠地) など。その一方で、石油会社ENIは半世紀にわたりリビアで事業を展開しており、イタリアは原油の約4分の1をリビアに依存している。石油だけではなく天然ガスもリビアに依存しているのがイタリアの実情だ。 石油会社ENIは、イタリア車好きなら有名なアジップを吸収した半国営企業。アジップ自体は独裁者ムッソリーニが設立した国策石油会社だ。独裁者つながりでリビアの採掘権を取得しているというのも歴史の皮肉だ。余談だが、レースチームのスポンサーとして有名なスペインのレプソルもリビアで石油採掘している。
今回のリビア騒乱で、欧州株式市場はイタリア銘柄を中心に下落、イタリア外相は議会での発言で、リビアに投資しているイタリア企業の損害は4500億円になるとしている。
フィアットの株主である自分も、今回は大損ですわ(泣)。