世界一不細工なグループBマシーン MG Metro 6R4

水冷V6気筒 DOHC 2991cc 380ps/8500rpm

This despairingly awful ugliness of the car is certainly one of favorable characteristics of English cars.
The distorted machine was supposed to surpass gigantic powerful Audi Quattro by its lightness and agility.



“Austin Rover Group”(懐かしい響きだ)が倒産寸前だったのに、グループBに挑戦することにした時に考えたのは、ライバルよりも小さいクルマ“MG Metro”でベースにした4輪駆動ということだった。
マシンの制作を依頼したのは、ラリー・カーの経験がまったく無かった“Williams F1”だった。ボディの大きさもそうだが、タイアもライバルと比べて2インチも小さくできる。車重の軽さでアウディクワトロに勝てるはずだった。
肝心のエンジンはお粗末で、グループB華やかし500馬力時代に、ノン・ターボでたった400馬力足らずだったとは恐れ入る。採用された“Cosworth”の流れを汲む“V64V”エンジンはライバルよりも重心が高くなり、ボディは補強がされて車重による優位は保てなくなってしまった。重心の高さはハンドリングにも悪影響を与え、コーナーの途中で急激なオーバーステアに変わるという特性を顕著に示していた。おまけに頼みの13インチタイアの開発もミシュランに断られ、15インチタイアになり車幅とホイールベースがわずかに延ばされて益々車重は増加してしまった。
結局戦績は、デビュー戦の1985年“RAC RALLY”の3位が最高順位でリタイアが大半を占めていた。 “MG Metro”の開発は母国英国での森林ステージに偏り過ぎており、ボディやサスペンションの強度が不足していたのだ。信頼性の不足も終始問題となった。カムベルトは切れやすく、エンジンは土埃に弱く、路面の荒いラリーではサスペンションの強度が不足していた。
たび重なる補強は確実に重量を増やし、最終的には1100㎏となった。これはライバルの“Lancia Delta S4”などに比べて少なくとも100㎏以上重い!
ライバルと比べて、エンジンもパワー不足で車重も重く、強度も足りない、お世辞にもボディデザインが素晴らしいと言えない……すべてがダメなラリーカーだった。