Archivio Storico Fiat その5


“1969, 2400 DINO SPIDER”
水冷V6気筒 DOHC 2418cc 180ps/6600rpm 最高速度210㎞/h

フィアットシャシー)、フェラーリ(エンジン)、ピニンファリーナ(コーチワーク)の3者の協力によって完成されたもので、フィアットの量産型スポーツカーとしては当時最も高性能なものである。エンジンはその名が示すとおりフェラーリのV6で、初期型のサスペンションは前が普通のダブル・ウィッシュボーンとコイルの独立、後ろはシングル・リーフでつったリジッドである。後輪懸架にはトランクの下から前方に延びてアクスルをつる左右2本のリーディング・アームと、1本のパナール・ロッドがついている。



これこそイタリアン・スポーツの神髄ともいうべき魅惑的なダッシュボード。大きいメーターは左が9000rpmまでのタコメーター(7000からイエロー、8000からレッド・ゾーン)、右が250km/hまでのスピードメーターで、他に油温、油圧、燃料、水温の各小メーターがついている。時計、ラジオ、灰皿はセンター・コンソール上にある。ステアリング・ホイールのリムはウッドではなく、滑らなプラスティック製。ルーヴァーのような穴を開けた3本のスポークが変わった印象を与える。5速ギアボックスのシフト・レバーは、イタリア車としては比較的オーソドックスなところにある。(当時のアルファ・ロメオやフェラーリではもっとステアリングに近く、長い)



いまは亡きエンツォの息子“Alfredo Ferrari”(1956年白血病で死去)によって計画された1957年F2用のV6エンジンは、その愛称にちなんでエンツォ自身により“DINO”と名づけられた。1967年からのF2の新レギュレーションでは12ヵ月間に500台以上生産したGTのエンジン(6気筒1.6ℓ以下)を用いなければならないが、マラネロの工場にはその能力がなく、フィアットが援助の手をさしのべてこの車が誕生したのだ。このエンジンはもともと“Vittrio Jano”が設計したもので、当初はアルミ製シリンダー・ブロック 65°V6 DOHC 1987cc、160ps/7300rpm
キャブレターはダウン・ドラフトのダブル・チョーク・ウェーバー3基である。後方のギアボックスは5速。
展示車は排気量を2400にした後期型で、F2規定の生産台数を達成した後、アルミヘッドは鉄に格下げし、代わりに後サスペンションをストラットとコイルの独立懸架として乗り心地と接地性、操縦性を高めたもの。
これにより車重が1150㎏→1270㎏と増加したが排気量を2400にすることによりパワーを160ps→180psにして強化。最高速度は210㎞/hと変わらないものとなっている。
0〜100㎞/hは8.3秒とかえってわずかに速くなっている。



“1971, 2400 DINO COUPE”
水冷V6気筒 DOHC 2418cc 180ps/6600rpm 最高速度205㎞/h

クーペはスパイダーよりも110㎏車重が重いので最高速度は205㎞/hとなる。ボディはベルトーネ


コクピットはスパイダーよりもクーペの方が魅力的だ。特にメーターまわりなど。
写真は“Archivio Storico Fiat”の展示車ではなく“Bertone”に展示されているもの。