1924 Wolseley CP 1.5-ton Truck

Wolseley(ウーズレー)は 1905年に創業したイギリスの自動車会社。
1893年に設立された東京石川島造船所は 1916年に自動車生産部門を設立(現在のいすゞ)。1918年に Wolseleyと提携し、1922年に Wolseley Type A9の国産車第1号を完成させた。これは治具・工具づくりから組立まで、すべてを国内で行った記念すべきクルマだ。


東京石川島造船所深川工場で組み立て中の Wolseley Type A9


この時代から、経済性が重要視されていたことに注意。



Wolseley CP 1.5-ton Truck
排気量 3079cc 26馬力 最大積載量1.5t


Wolseleyと提携した同年 1918年3月に軍用自動車補助法が成立した。日本陸軍の主導により国産トラックの製造が後押しとなったのである。東京石川島造船所もその波に乗って1923年に Wolseleyトラックの国産化に着手。途中、関東大震災にて工場も大被害を受けたが、1924年に大1号車を完成させた。


3ペダルのアクセルが真ん中に配置されている。当時はこのような配置も特殊ではなかった。前進4段後進1段のミッション。ゴム毬状の大きなクラクションにも注意。


陸軍保護自動貨車と言うのは、上記の軍用自動車保護法適用対象となっていることを意味する。
これは有事に際し陸軍に車両を提供する義務の代わりに、購入者は補助金の適用を受けることを示している。星のマークは、勿論、日本陸軍のことである。

因みに、陸軍保護自動貨車の第1号車は、東京石川島造船所のライバルである東京瓦斯電気工業(現 日野自動車) TGE-Aである。東京石川島造船所に先駆けること5年前の 1919年に陸軍に納品している。
http://d.hatena.ne.jp/gianni-agnelli/20101218/1292598015