Le Mans Classic 2012 Espace Clubs  Glas

 今はなき Hans Glas GmbH は、ドイツはバイエルンのDingolfingにて創業した自動車会社。もともとは1895年に設立された農業機械の修理工場で、1905年には種まき機械の製造を開始。戦後は種まき機械の需要が減り、1951年にはスクーターの製造を手がけ、1955年から自動車の生産をはじめた。
 1966年に経営難に陥り、同社が持つOHCヘッドとタイミングベルトの特許を求めて BMWが同社を吸収。60年代末までにそのブランド名は消滅することとなる。2008年現在、Dingolfingに残る同社の工場は 22,000人の従業員を抱える BMW最大の工場として存在し、5、6、7シリーズを送り出し、Rolls-Royceのボディも生産している。



Glas 1204 TS Cabriolet(1963)
Glas 4cyl SOHC 1189cc 70ps/5750rpm FR.

1204の高性能版。ツインキャブで53馬力から70馬力にパワーアップ、それに伴ってフロントにはディスク・ブレーキが奢られている。720kgという軽量ボディは西ドイツ製アバルトと言うべきで、レースでも活躍し、Spa-Francorchamps 24hと Nürburgring 500kmでクラス優勝を果たしている。
オリジナルの 1004(1962)は世界初の OHCヘッドのコックドベルト駆動を採用した。ボディ・デザインはイタリアの Fruaである。



Glas 1300 GT
Glas 4cyl SOHC 1290cc 75ps FR MAX 170km/h.

1963年のフランクフルト・モーターショーにてデビュー。西ドイツ製とは到底信じられない華麗なボディは Fruaのデザインで、Maggioraによって架装されている。



Glas 1300 GT
1965年の 85馬力に強化された後期型。最高速度は 175km/hとなっている。ボンネットにエアインテークがあること、ホイールが大径化されていることで識別される。



Glas 1300 GT Cabriolet



BMW 1600 GT
BMW 4cyl SOHC 105ps/6000rpm.
1967年にBMW 1600 tiのエンジンとギアボックスを移植して再登場したもの。グリルはキドニーに移植されているが似合わない。



Glas 1700 TS
Glas 4cyl 1682cc 100ps/5500rpm FR MAX 170km/h.

1963年の 1300 GTの開発時に Glasは Fruaと中型のサルーンのデザイン契約を結んでいた。それが同年のモーターショーで発表された 1500である。市販時には 1700として発表された。TSはツインキャブの高性能版で、オリジナルの80馬力から100馬力に強化されている。
1966年、BMWGlasは吸収されたが、その際に BMW 1800と直接競合となる Glas 1700は BMWの命により生産が中止されることとなった。
ルーミーなデザインが、後に日本のマツダから発表される、ベルトーネによる初代ルーチェに影響を与えたことが想像される。