Le Mans Classic 2012 2 GRID 1949 - 1956 Titleholders Part 5 Cooper T38


1955 Cooper T38
Jaguar 3442cc 6cyl.


 ある時、Cooperは顧客から C-Type Jaguarの6気筒エンジンを搭載したライトウェイト・スポーツの制作を頼まれた。これは小排気量のエンジンを搭載するライトウェイト・スポーツを売りとしていた Cooperの社風とは相容れないものであった。しかし、そのようなスポーツカーの制作を熱望していた息子の Johnは、父 Charles Cooperを説得し、クルマの制作にとりかかることとなる。しかしながら、大パワーのエンジンを搭載したクルマは Cooperにとって初めてのことであり、多くの新しいデザインと機械部品が必要とされた。例えば、横置きリーフのウィッシュボーン・サスペンションは Jaguarのパワフルなエンジンに対して、余りにも貧弱なものだったのである。

 シャシーは Mark IXに似た大経の鋼管フレームで構成されており、サスペンションは横置きリーフ・スプリングのダブル・ウィッシュボーンで、強固なテレスコピック・ダンパーが備えられていた。タイアは Dunlopで同社の17インチ軽量ホイールと組み合わされており、ブレーキも同社の4輪ディスク・ブレーキが奢られていた。メイン燃料タンクは運転席と助手席の後ろに備えられている。ボディは軽量なアルミニウム製。

 225馬力のパワーを発生するエンジンは、フロント後方にマウントされ、Moss社のギアボックスを介して後輪を駆動する。

 1955年に2台目のオーダーが入る。これが T38と称されてブリュッセルのモーターショーに展示された。エンジンは250馬力に強化されたドライサンプの XKエンジンが搭載された。
 T38は合計3台のみが製作され、その内の1台 Peter Whiteheadがオーダーしたクルマが COOPERのワークスチームで 1955年のル・マンに出場。スタートから3時間後に、エンジンの不調でリタイアとなっている。
 因みに同レースでは、Coventry Climax製の4気筒 1100ccエンジンを搭載したワークスの Cooper T39が総合 21位(S 1.1Class 2位)で完走している。