Škoda Felicia (1959–64)

驚いた。
少し前に小林彰太郎さんによるCG創刊前の記事を読んでいたのでクルマは知っていたが、まさか日本で現存していたとは…。
1961年、港区榎坂町にあった朝日自動車が輸入した個体。Feliciaはハードトップと折りたたみ式の幌が選べたが、日本に輸入されたのは幌だけだったようだ。サスペンションは前がコイルのダブルウィッシュボーン、後が横置きリーフのスイングアクスルによる4輪独立懸架。エンジンは4気筒OHV 1,089㏄ツインキャブレターで53HP/5,000rpm MAX 135km/h。4速フロアシフトだがシフトパターンは通常と違って1速が右上となる。
小林さんによれば、エンジンをかけると、高めのアイドリングでボディ全体が揺れるほど振動したようだ。しかしブリッピングするとエンジンは軽く回り、「各ギヤで思わずフルスロットルまで踏み込みたくなる」ような良い印象だったようだ。


左から燃料計(小林さんは極めて不正確と評していた)、160km/hまでの速度計(オドメーターはキロ単位しかない)、水温計。
シートは当時としては充分にバケットシートの形状。後席は狭く、荷物置き場のサイズ。


ロードクリアランスがかなり高いことがわかる。これぐらいなければ、当時の酷道といわれた日本の道路ではムリがあったらしい。チェコもそれぐらい酷かったのかもしれない。サスペンションは日本車よりも固めで堅牢と小林さん。


「もちろんスポーツカーではないし、2/4座オープンボディの制約から、完全な実用車でもない。しかし、活発な運動性能と、数々のおもしろい構造的特徴を備えた、丈夫な車であることが、この短いテストを通じて確実に知り得た」
小林彰太郎さんの結論だ。