1963 PRINCE Skyline standard


直列4気筒 OHV 1862cc 91HP/4800rpm 15.0mkg/3600rpm Max 140km/h

 63年型のスカイラインはグロリアのフルモデル・チェンジに対して、ボディ各部のマイナーチェンジにとどまったが、フロントマスクを始めとしてボンネット、フロント・フェンダーなどのデザインを大胆に改め、前から見た印象はオリジナルとかなり違ったものとなっっている。その一方でスカットルより後方は日本車初のテールフィンなどほとんど変っていない。
 インテリアはメーターまわりがスカイライン・スポーツに似たデザインになり、ステアリングをコーン・タイプにするとともにパネル全面にクラッシュパッドを設けた。

 リア・サスペンションは先進的なド・ディオンアクスルを採用していた。もちろん櫻井眞一郎氏によるものである。しかし、この試みは失敗に終わる。当時の日本の道路は「極悪非道」と言われた未舗装路ばかりで舗装率はなんと14%でしかなかった。都内でさえプリンス本社のあった荻窪から先は砂利道だった。複雑な機構のド・ディオンアクスルにとっては過酷すぎたのだ。スカイラインは、メインの顧客であるタクシー業界からすぐに「足回りが弱い」というレッテルを貼られてしまう。
 ギアボックスも他社の3速に比べて4速となっていたが、いかんせん1速のレシオが低すぎて、事実上の“for emargency”。オーナーが1速発進することはなかった。
 一番の問題はボディのフィニッシュである。新車の状態から波打っていたり、明らかにライバルであるトヨタ クラウンよりも質感が悪かった。

 技術者の自己満足とも言えるスカイラインの販売は低迷、プリンスの経営の足を引っ張ることになる。